映画「出櫃(カミングアウト)――中国 LGBTの叫び」の紹介文をNewsweek日本版様に寄稿させていただきました。

「家族の同性愛を受け入れられるか」──中国LGBTドキュメンタリーが問うエゴ、分断そして和解

一見LGBTは自分と関係ない他者、しかも変わった人たちの話ととらえられがちだと思う。「あなたの隣の人が実はゲイかもしれない」という想像もまた不要のこととは言わないが、僕としては(勿論セクシャリティという人間としての土台の部分のマイノリティであるという意味で彼らが非常につらいということは分かった上で)人は誰しも何かのマイノリティであり、誰にもいえない/言わないことを抱えて生きている、ということを強調したかった。それは家族であっても親しい友人であっても一生知ることはないかもしれない秘密だ。そういう意味で、この映画は「誰かの」ではなく「私たちの」作品なのだろうと思う。

そういった意味で人間にとって他人は永遠に他人、不安な存在であり、言葉を選ばずに言えば「分かり合う事などできない」。それぞれが孤独な存在なのだ。でもひとりで生きることもできない。だからこそ(時には自分の主張を曲げてでも)他者を尊重しなければいけない。説教臭いかもしれないが、本心からそう信じている。