FCCC(駐中国外国記者協会)のアニュアルレポートが発行されたので、野良ではあるが日本語全訳を置いておく。翻訳品質の責任は全面的に私にある。

最後のメソドロジーの部分に記載があるように、この調査は欧米アジアの報道機関の特派員92人を対象に行われたものだ。名簿はおそらく公開されておらず(入手は可能だろうが面倒だ)、その国別内訳は不明。基本的には英語ベースの集いなこともあって日本の報道機関の参加は少ないはず。名前だけは入っていて会合は行かない(たまに欧米バックグラウンドの記者が来るとほぼ個人の身分などで混ざっていたりする)、という感じだと理解している。

北京のこの組織はあまりに目をつけられ過ぎているので私個人として触れてもいないし、在籍している知己もいないではないが今回わざわざチェックはしていないことは一応書いておく。

最大の驚きは内容というより、92人も特派員がまだいるのか?ということ。欧米大手の多くは事実上中国国外または香港からの報道に切り替わっているはずで、著名な中国屋記者の多くはすでに去っている。おそらく国籍別で言えば日本メディア特派員が結果として今では一番多いはずで、それらがあまり積極的に参加していなそうなこの調査で、これだけの人数が回答しているとは・・・。

レポートの内容自体は意外な新事実が述べられているわけでもない。ただ多くない数とはいえ、定量的に記録されているという意味では価値があるとはいえる。FCCCにとって「こいつらやばい」というインセンティブがあること、また調査対象となっている特派員が中国についてどこまで経験があり理解しているかが全くわからない点は割引いて読むべきだとは思うが。また母数が限られている為、1%を構成する実数は少ないことは注意すべきだろう。

加えて本文中に中国人アシスタントへの圧力の問題を取り上げた部分があるが、「アシスタントは通常、インタビューの手配、背景調査、取材旅行での翻訳」を行うというのは表面的な話で、実際は多くの場合かなりの深さで取材に関わっていることが恐らく意図的に書かれていない点にも注意が必要だ。仕組みの問題で悪意に基づくものではないと理解しているがそれはともかく、中国人は外国報道機関の記者にはなれない。だからクレジット名義としてはアシスタントであるが事実上記事執筆にかなり近いところまでその人が行うというのが実際のところだった。ただしここ数年このあたりが厳格化されたり色々で多少の揺り戻しはあるようだ。とはいえ数年で去る現地専門家ですらない「特派員」と、十年以上同じ職場で働くローカルの「アシスタント」、どちらが事情に詳しいかと言われれば明白であろう。

また本文中ではビザ発給を通じたプレッシャーの問題が強調されているが、日本メディアも例外ではない。具体的なことは書けないが、今年にも大きな問題が起こり、人事と報道を天秤にかけられる始末となったようだ。もともと「反中的」と当局から認定されている媒体も、恒常的に圧力をかけられつづけている。そしてこの脅迫の構造がゆえに、当事者である報道機関自身がこれに言及することはない。書いた瞬間にビザを取り上げられて追い出されることがわかっているからだ。だからそういうしがらみのない(でも影響力はある)メディアがこれを取り上げてほしいと思うのだが…。唯一やれるとしたら中国撤退を決めて腹をくくったときだが、さて。

個人的には報じられるべきトピックはウイグルや香港に限らないと思う。別の場所で書いたように、歪みは辺境でこそ顕在化されると私は信じているし、その意味でもちろんウイグルを取り上げることに意味はある。ただし深い理解を伴わずに取り上げられるそれは時に、非常に表面的な「ためにする批判」の道具に堕する。しかし別にそんな大袈裟な政治ゲームに参加せずとも、中国で暮らしていれば(もちろん多少なりとも隔絶された外国人社会を抜け出す必要はあるが)、ネタはいくらでも転がっている。

そういう別に共産党体制に反対するような性質ではない街ネタこそ、中国人記者をもっとコラボ相手として使えばいいのに、と思う。当然外国人より事情をよく知り、ネタを持っているし、日本同様かそれ以上にちゃんとやっている人ほど金に困っている。その中から外国人が興味を持ちそうなネタを選び取り、形にしていくことにも意味はあるだろう。日本メディアはなんだかんだいって欧米メディアよりも中国に関して紙幅をとっており、大事件でなくても取り上げることができる余地はある(当の我々からすると「誰も関心を持っていない」みたいにいうが、欧米に比べれば最低限のレベルは随分違おう)。もちろん自社に助手はいるわけだが、いろいろな縛りがあるとともに、考え方や立場なども結構固定化されているようにも感じる。「中国人ならそれでいい」わけでもないのだ。

どこもお財布事情が厳しく頭数自体を減らしているわけだが、こういっては失礼かもしれないが、中国に対する知見のない特派員1人のコストとこうした外注を使うコスト、比較にならないのと思うのだが。

※過去記事のうち関連が強いものを文末に追加している。併せて読んでいただけたらと思う。

シン・レッドライン 〜増加する在中外国人ジャーナリストへの妨害

出典:Media Freedoms Report 2024: ‘New Red Lines’

イントロダクション

2024年、中国における立ち入り禁止とされる報道題材の「レッドライン」拡大は、世界の情報流通を著しく阻害し、ジャーナリストたちの警戒を強めた。当局が「敏感」と見なす境界線が曖昧になり、一見無害な話題でさえ「敏感」またはタブーとされる場合があるという。

2023年には、新型コロナウイルス関連の規制緩和による改善が見られたが、2024年には半数の記者が、過去1年間で「レッドライン」が増加したと報告している。経済的課題や地政学的緊張の高まりを背景に、独立した取材を制限する国家統制が制度化されつつある兆候が見られた。

新疆、チベット、香港、習近平への直接的な言及といった長年の「レッドライン」は依然として厳格に維持されている。一方、かつては非政治的と見なされていた中国経済も新たな立ち入り禁止対象となり、関税、電気自動車、ハイテク政策、失業、労働条件といった問題が当局の厳しい監視を日常的に引き付けている。上海でのハロウィンイベントから、ジェンダー不平等や高齢化といった幅広い社会問題に至るまで、予測不能な多岐にわたる話題が反発を招いた。警察官、私服警察、ドローン、デジタルトラッキングによる絶え間ない監視は、真に独立した取材の余地を厳しく制限した。記者の9割近く(86%)が取材依頼を断られたり、キャンセルされたりしたと回答し、40%近く(38%)が中国人スタッフが嫌がらせや脅迫を受けたと回答した。また、10人に1人近くが乱暴されたり、物理的暴力を受けたりしたと報告している。

さらに、回答者の4割(38%)が、当局からの圧力により取材旅行やインタビューを中止したと述べており、2022年の31%から増加している。実際に行われた取材旅行のうち、回答者の42%が当局による妨害を受けたと回答し、同数の記者が身元不明の人物による妨害を報告している。両方を経験した記者もいる。

かつては日常的だった話題の取材でさえ、今は困難を伴う雰囲気が見られると、記者たちは語っている。

「経済や地政学的な状況次第で、新しいレッドラインが絶えず出現している。(中略)我々はよく『その話はしたくない』という答えを受け取る」— ヨーロッパのテレビ記者

「ほとんどの人は、外国人記者と話すことにメリットを見出さない」— アメリカの報道機関の記者

一方、ビザの発行待ち期間は短縮されたものの、報道機関の4分の1がビザの問題で人員不足に陥っている。これは前年の約3分の1から減少している。当局は、報道内容に不満を持つ記者や報道機関に対し、ビザやアクセスを制限したり、訴訟を起こすと脅したり、報道内容について本社のメディアに苦情を申し立てたりすることで、報道に影響を与えようとしているようだ。

FCCCは、以下の点を強調したい。

国際ジャーナリストに対する敵意の制度化が明らかになっており、これは影響力を増すこの国に対する国際的な理解を著しく損ねていることに、FCCCは警鐘を鳴らしている。外国人記者の取材の自由に対するこの「拘束服」は、国際的なビジネス上の意思決定や人と人との理解を妨げるだけでなく、危険な地政学的誤算のリスクを高める。

FCCCはいくつかの明るい兆候を歓迎する。2024年にソーシャルメディアで攻撃を受けたと報告した回答者はわずか2%で、2022年の18%から大幅に減少した。また、警察による妨害の報告件数は、2023年の54%から2024年には42%に13ポイント減少した。

しかし、今年の調査でも、回答者の圧倒的多数(98%)が、中国の取材環境は国際的な報道基準をほとんど、あるいは全く満たしていないと回答している。

取材環境の悪化

2024年、中国を拠点とする外国人記者の間では、いわゆる「デリケートな」話題の範囲が大幅に拡大したという認識が一般的である。これにより、当局者や学者だけでなく、一般市民を含む情報源に接触し、取材することがより困難になった。回答者の半数近く(49%)が、過去1年間で「レッドライン」の範囲が増加し、当局や情報源から「敏感」と見なされる話題が増えたと述べている。結果として、基本的な問題でさえ取材が困難になっている。

この感受性の高まりとリスク回避は、ジャーナリストの情報源へのアクセスに直接的かつ否定的な影響を与えた。例えば、86%が、外国メディアとの会話が許可されていない、または事前の許可が必要であるとの理由で、情報源に取材を断られたり、キャンセルされたりする問題に直面したと回答した。これらの拒否は、最初の接触がすでに済んだ後に起こることが多く、当局の介入があった可能性を示唆している。学者や当局者に加え、一般市民もインタビューを拒否した。

大学の中国人研究者や政府関連機関の当局者へのインタビューは、外国人記者にとってほぼ不可能になっている。このアクセス不足は、デリケートな事柄を調査するだけでなく、前向きな傾向を含むより広範な力学を理解することも難しくしている。複数の記者は、これらの制限がニュアンスや正確性を伴う報道、そして中国社会内部の議論を反映する能力を妨げていると指摘した。結果として、国際社会が中国についてより深い理解を得ることも困難になっている。

記者たちは、これらの制約がメディア関係者だけでなく、信頼できるデータを求める外交官、学者、ビジネスマンにも影響を与えていると指摘した。中国に住み、働く他の駐在員にとって、敏感とされる話題の拡大はそれほどあからさまではないかもしれないが、仕事のためにほぼすべてのことについて質問しなければならない記者にとって、立ち入り禁止区域に踏み込むことは今や日常茶飯事である。

「最近はすべてがデリケートだ。かつては取材が簡単だった経済でさえ、『立ち入り禁止』になっている。どんなに些細に見えても、政府への批判は今や大きなレッドラインになる。いつものように、チベットと新疆は依然として非常に大きなレッドラインだ。2024年には上海ではハロウィンさえ立ち入り禁止になった!」— ヨーロッパの報道機関の記者

過去数年と同様に、新疆、チベット、台湾、そして最高指導部、特に習近平国家主席といった問題は、依然として取材が特に困難である。当局は、省庁、地方政府、学術機関全体で画一的な公式見解を繰り返す傾向がある。ある記者は、現在の環境を「ますます被害妄想的なシステム」だと表現し、こう付け加えた。

「多くの人にとって、欧米のジャーナリストと話すことは、それだけの価値がないことになっている」— 匿名

新たにまたはますますデリケートと見なされる分野には、女性の権利、高齢化、酒類生産、武漢ロックダウン記念日など、幅広い話題が含まれていた。しかし、ほとんどすべての回答者が言及したのは経済である。かつては比較的安全な取材分野と見なされていたが、今や地雷原と化している。

記者たちは、若者の失業、デフレ、出稼ぎ労働者(農民工)の生活条件、再生可能エネルギー、人口動態、米国との貿易戦争などをタブーな話題として挙げた。

「経済に関する記事は一貫して難しい。経済が回復しない期間が長くなるほど、企業に政府の言葉や方針をオウム返しさせる圧力が増しているようだ。経済の回復がすぐそこにはないと認めるよりも、沈黙している方が良い」— ヨーロッパの報道機関の記者

回答者の半数以上(57%)が、中国に到着して以来、労働環境が悪化したと回答した。そのうち33%が「著しく悪化した」、24%が「多少悪化した」と答えている。18%が「多少改善した」、わずか1%が「著しく改善した」と考えている。

「大都市の外では、監視がほとんど日常的になったと感じる。インタビューを設定するのが明らかに難しくなった。そして、デジタル監視に関しては、システムは今やほとんど完全な状態だと思われる」— ヨーロッパの報道機関の記者

現地での妨害

出来事が起こっている現場から直接情報を収集することは、独立した報道にとって不可欠である。しかし、中国ではジャーナリストの仕事がしばしば妨害されている。外国人記者は、2024年秋に少なくとも35人が死亡、43人が負傷した珠海の自動車暴走事件のような主要なニュースの現場への立ち入りを拒否されたと報告している。

新疆やチベットのような少数民族地域へのアクセスは長年制限されてきたが(第7章参照)、2024年には、国境地域や遠隔地の省から、東部の港湾都市や省都に至るまで、中国のほぼすべての地域でジャーナリストがますます多くの障害に直面している。回答者の5人に1人が、以前は多数の国際メディアを歓迎していた全国人民代表大会を含む公式イベントへの立ち入りを拒否されたと述べている。

  • 回答者の98%が、取材環境が国際基準を満たしていないと回答した。
  • 21%が主要な公式イベントへの立ち入りを拒否された。

中国の報道機関に対する監視は、ますます巧妙化し、デジタル化している。2023年以降、地方当局は取材中のジャーナリストを監視するためにドローンを使用しており、ジャーナリスト自身がドローンで撮影している場合でさえそうである。しかし、最も一般的な妨害方法は依然として伝統的なものである。記者は頻繁に警察官、私服警察、または身元不明の人物に尾行され、対峙され、阻止され、情報源にとってインタビューが困難になったり、危険になったりしている。

58%が警察官または私服警察に明らかに監視された。

  • 5%がドローンに監視された。
  • 42%が警察官または当局者に妨害された(2023年の54%から減少)。
  • 42%が身元不明の人物に妨害された(2023年の45%から減少)。
  • 9%が乱暴されたり、物理的な力を加えられたりしたと報告している。

「私がインタビューしようとした人々から力ずくで引き離され、身元不明の男に地面に突き倒された。私は何度も自分がジャーナリストだと名乗った。私が倒れた時に落としたマイクとバックパックを拾おうとすると、同じ男が私の持ち物を持ち去った」— ヨーロッパの報道機関の記者

「身元不明の人物が、通り全体の一軒一軒の店主に話しかけ、私たちと話さないように警告した。あるインタビュー対象者は、私たちと話すなという電話を受けて、インタビューの途中で突然止めた」— ヨーロッパの報道機関の記者

FCCCは、これらの慣行が中国の法律に矛盾していることを指摘する。外国人メディア組織の常駐事務所および外国人記者によるニュース取材に関する中華人民共和国の規定第17条(訳注:中华人民共和国外国常驻新闻机构和外国记者采访条例)によれば、

「中国の組織または個人に取材を意図する外国人記者は、事前の同意を得る必要がある」。

しかし、複数のケースで、事前の同意が理由なく撤回されたり、不十分と見なされたりしている。これらの障害は、外国人記者だけでなく、しばしば現場で彼らに同行し、同様の圧力や妨害に直面する中国人スタッフにも影響を与える(第五章を参照)。

ビザ問題の頭痛

中国で取材の許可を得るには3つのステップがある。まず、ジャーナリストは入国のためにJ1特派員ビザを取得する必要がある。入国後、外交部の国際報道センター(IPC)にプレスカードを申請し、最後に公安局(PSB)から通常1年間有効な居住許可証を確保しなければならない。

2024年には、回答者全体の4分の1(25%)が、必要な数の新しい記者を連れてくることができず、報道機関が人員不足に陥っていると回答した。さらに、7%が、後任者のビザを取得できなかったため、中国での任期を延長したと述べた。

「アメリカの報道機関として、私たちは2019年以来、新しいJ1ビザを一つも取得できていない」— アメリカの報道機関の記者

「米中間の緊張とJビザの行き詰まりのため、私の報道機関は人員不足だ」— アメリカの報道機関の記者

「カナダと中国の関係は悪い。私は2021年からビザを拒否されている」— カナダのジャーナリスト

特に、米国やカナダなど、中国との関係が緊張している国の報道機関にとって、状況は悲惨である。一部の米国の報道機関は、依然として深刻な人員不足に陥っている。カナダの場合、中国本土に特派員を常駐させているところはない。

パンデミック中、ほとんどのメディア機関は退任する特派員を補充することができなかった。2023年初めに中国のゼロコロナ規制が解除された後、本格的に人員補充が始まり、2023年と2024年に発行された新しいビザの数が比較的多いのはこのためである。

調査によると、2024年に22人のジャーナリストが新しいJ1ビザを取得した。既存のポストを埋めるために19人、新しい役割のために2人、新しい報道機関のために1人であった。

この数は、25の新しいJ1ビザが発行された2023年と一致している。これら22人のジャーナリストのうち、14人が6か月以内にビザを受け取り、6人が6か月から1年、2人が1年以上待って承認を得た。

複数の回答者が、ビザの発行と地政学的状況との間に相関関係があることを指摘した。中国当局は、外交的アプローチを通じて取り込もうとしている国、特にヨーロッパやグローバル・サウスの国のジャーナリストに優先的なアクセスを提供しているようだ。

「グローバル・サウス諸国のメディアをより多く取り込もうとする明確な努力がある」— 匿名

「アメリカ人ジャーナリストとして、私は常に自分の資格が二国間関係の状態に大きく左右されると感じてきた。中国が米国に対してより友好的な姿勢をとっていた昨秋に更新した」— アメリカの報道機関の記者

常駐特派員は通常、数年間中国に滞在し、毎年J1ビザとプレスカードを更新する必要がある。この手続きの一環として、IPCの当局者がジャーナリストを面談に招待するのが慣例である。ほとんどの記者がこれらの面談を形式的で専門的だと表現したが、一部は微妙な圧力や隠された警告の瞬間があったと報告している。

2024年に資格を更新した人の91%が、手続きは円滑だったと回答した。しかし、9%は、IPCまたはPSB、あるいはその両方で更新中に困難を報告している。

「ビザ更新に関する直接的な脅威はなかったが、中国に対する前向きな報道をすれば、生活や労働条件がより良くなるだろうという微妙な警告があった」— 匿名

回答者の98%が12か月間有効なプレスカードを受け取った。しかし、2人の回答者は、彼らのプレスカードが6か月に制限されており、これを以前の「デリケートな」報道に起因すると考えた。

「2019年の新疆に関する報道以来、私の記者証の有効期間は6か月に制限されている」— ヨーロッパの報道機関の記者

FCCCは、ビザや資格をジャーナリストの行動に影響を与えたり、政治的圧力をかけたりするための道具として使用することに反対する。パンデミック後のビザ発行再開には進展があったものの、根本にあるアクセス選択と政治化は、特に米国とカナダの報道機関にとって深刻な懸念事項のままである。

法的ハラスメント

過去4年間、中国にいる外国人記者は法的嫌がらせの脅威が増加していることに直面してきた。2021年以降、FCCCには、当局または(おそらく当局の圧力下にある)情報源によって、記者が訴訟で脅されたり、法的措置の対象となったりしたケースが25件報告されている

2021年には9件のそのようなケースが報告されていた。その数は2022年に3件、2023年に4件に減少した。しかし、このポジティブな傾向は2024年に逆転し、8人のジャーナリストが再び法的脅威や訴訟を報告し、2021年に記録されたピークレベルに戻った。政府関係者から脅威を受けたのが3人、情報源からが4人、政府関係者と情報源の両方から法的措置で脅されたのが1人であった。

中国の文脈では、法的な脅威は特に不気味である。国は、係争中の裁判を抱える個人に出国禁止令を課し、彼らが国を離れるのを防ぐから措置を恒常的に課すからだ。

「我々が調査結果を提示する反論権の質問で政府機関に連絡した後、その機関は法的措置をとると脅してきた」— アメリカの報道機関のジャーナリスト

「情報源が、彼が要求した記事を撤回しなかったら訴えると私に言った。しかし、撤回要求は地元当局からの圧力下で行われ、訴訟の脅威もそうだった。彼は実行に移さず、自ら望んだ脅迫行為でないことは明らかだった」— アメリカの報道機関の記者

いくつかのケースでは、外国の記者は友好的に扱われる一方で、中国人スタッフに圧力の矛先が向けられ、萎縮効果をもたらす戦術が用いられている。公式な圧力に加え、外国メディアと働く中国人は、公共の場での取材中に市民から罵倒や中傷にさらされることもある。

FCCCの調査によると、

  • 回答者の38%が、中国人スタッフが少なくとも1回、圧力、嫌がらせ、または脅迫を受けたと回答した。
  • 26%が「わからない」と回答した。
  • 13%が「スタッフはそのような圧力に直面していない」と回答した。
  • 24%が「情報を提供できない」、多くの場合、中国人アシスタントと一緒に働いていないためと回答した。

(これらの数字は、現場取材に携わる中国人スタッフと働く記者からの回答のみを反映している。)

アシスタントは通常、インタビューの手配、背景調査、取材旅行での翻訳を行う。2024年には中国人スタッフの拘束に関する報告はなかったが、当局との強制的な面談、家族への電話、さらには元教授や他の社会的接触者への連絡など、他の形式の圧力は続いている。

不確実性が高いのは、中国人アシスタントがしばしば現場作業後に当局から脅迫されたり、連絡を受けたりし、外国人の上司に詳細を知らせないように指示されるという事実を反映している。これにより、雇用主が彼らを守り、支援することがより困難になる。

「北部の沿岸地域での取材中、警察に止められて質問された。警察官の口調は友好的で、情報が欲しいだけだと言った。しかし、私がトイレに行っている間に、中国人スタッフは警察に『外国メディアのために働くべきではない』と言われ、裏切り者であることを示唆された。私が戻ると、彼らは再び友好的だった。私のスタッフはその遭遇を深く威圧的だと感じた」— ヨーロッパのジャーナリスト

「私の中国人スタッフは、故郷の省の地元当局から私がその省に出張に行ったことで電話を受けた。彼女はその出張には同行しておらず、記事の準備とは何の関係もなかった」— ヨーロッパのジャーナリスト

「我々の中国人スタッフは、現場で日常的に嫌がらせを受けており、時には彼らを裏切り者と示唆する中傷を浴びせられる」— ヨーロッパのジャーナリスト

FCCCは、ジャーナリズムの行動を威圧する手段として、法的な脅威や地元スタッフへの間接的な圧力を用いることを非難する。このような戦術は、報道の自由を損なうだけでなく、国際的なメディア組織の仕事に対して、不釣り合いな個人的リスクを負うことになり、補助的な役割で働く中国人を耐えがたい立場に追いやる。

デジタル監視

2024年、外国人記者とその中国人スタッフは、国家による監視のために、効果的に取材を行う能力が制限されていると感じ続けた。この監視が彼らの個人的な安全を直接的に脅かしていると述べた者もいた。

回答者の大部分が、政府当局が以下のものを「おそらく」または「間違いなく」侵害したと考えている。

  • 彼らのWeChat通信(75%)
  • 彼らの固定電話または携帯電話の通話(55%)

これらの数字は2023年からのわずかな改善を示しているものの(当時、それぞれ81%と72%だった)、WeChatは特に懸念事項のままである。中国で最も普及しているメッセージングプラットフォームとして、WeChatは中国人情報源とコミュニケーションを取る唯一の方法であることが多く、その多くはSignalやWhatsAppのようなより安全な代替手段にアクセスできない。

「私は最近、北京の就職フェアで数人の学生と話をして、WeChatの連絡先を交換した。数日後、すべての学生が私をブロックしていた。私のアシスタントが、より長く話していた学生にコンタクトを取ろうとしたところ、彼らはWeChatが監視されていると思うし、学校から外国のジャーナリストと話さないように教育されたと返信した。私はこの人物に一度、偶然に会っただけで、WeChatが唯一の連絡手段だった」— ヨーロッパの報道機関の記者

通信の監視が疑われることに加え、回答者の26%が、ソーシャルメディア、メッセージングアプリ、または電子メールを含む彼らのインターネットアカウントがハッカーに狙われたと信じていると述べた。

また、機関的な圧力が中国の国境を越えている兆候も見られた。

  • 回答者の15%が、中国政府が海外の本社にいる編集者に連絡を取り、彼らの報道に影響を与えようとしたと述べた。
  • さらに12%が、そのような圧力が「可能だ」と信じているが、確認できないと述べた。

より少数の回答者(3人)が、協調的なソーシャルメディア攻撃の標的になったと報告した。しかし、オンラインでの嫌がらせの全体的な蔓延は引き続き減少している。

  • 2022年にそのような攻撃を報告したのは回答者の18%
  • 2023年には10%
  • 2024年にはわずか2%

「私は、私が書いたある記事について何百、いや何千もの苦情メールが届く、組織的なメール攻撃の標的になった。それは米国を拠点とする組織Code Pinkによってコーディネイトされていた」— アメリカの報道機関の記者

FCCCはこの前向きな進展を歓迎する。一つの可能性のある理由は、ソーシャルメディアの環境変化である。かつて組織的な嫌がらせキャンペーンで知られていたTwitter/Xを積極的に利用するジャーナリストが減っている。回答者の17%が、ソーシャルメディアを完全にやめたか、もはや積極的に活動していないと述べた。攻撃の標的になった一部のジャーナリストは、異なる役職に就くために出国した。

「制限された」地域からの取材

中国全体でデリケートな話題が拡大する一般的な傾向があるにもかかわらず、長年政治的にデリケートと見なされてきた特定の地域では、2024年も記者に対する極端な監視と嫌がらせが続いている。これらには、新疆ウイグル自治区(XUAR)、チベット自治区(TAR)、および国境地帯が含まれる。

これらの地域では、記者は徒歩、車、またはボートで私服警察官や当局者に尾行されてきた。インタビュー対象者は日常的に脅迫され、インタビューはしばしば完全に妨げられる。

外国人記者はチベット自治区への旅行許可を申請しなければならないが、アクセスは依然として厳しく制限されている。

2024年にそのような許可を申請した少なくとも5人の記者が入域を拒否された。政府が主催するプレスツアーが時折提供されるが、それに参加したジャーナリストは、独立して取材する機会はないと述べている。

FCCCの調査データによると、

  • チベット人が居住する地域(TAR外の地域またはTAR自体を含む)への旅行を試みた回答者15人中14人(93%)が取材上の問題に直面した。
  • 新疆を旅行した回答者13人中10人(77%)が取材上の問題を経験した。

「青海省のチベット高原の境界線で、3台の車と6人に尾行された。彼らを危険にさらさないように、誰とも話さない、あるいは微笑みさえしないようにした」— ヨーロッパの報道機関の記者

「四川省のチベット地域に行った。旅行中、警察に監視され、尋問された。彼らは私にその場を離れるように強制した。記事が公開された後、IPCに呼び出された。彼らは、我々のメディアがチベット独立を支持していると主張したが、それは明らかに違う」— ヨーロッパの報道機関の記者

当局は国境地域にも制限を拡大している。北朝鮮、ロシア、モンゴル国境付近で取材するジャーナリストは、地元の治安部隊に監視され、妨害されたと述べ、場合によっては最大5台の車に乗った私服警察官に尾行された。

調査データがこれを裏付けている。

  • 北朝鮮国境から取材しようとしたジャーナリスト16人中15人(94%)が問題を経験した。
  • ロシア国境に旅行したジャーナリスト15人中13人(88%)が問題に遭遇した。
  • 内モンゴルに行った回答者10人中8人(80%)が問題に直面した。

政府とのやり取り

外国人記者とその中国人スタッフは、彼らの報道について話し合うために国家安全部(MSS)または様々な公安当局者からしばしば接触を受ける。これは口語的に「お茶に誘われる」として知られている慣行である。これらの会合は時には友好的に見えるかもしれないが、しばしば脅迫の道具として使われる。

  • 回答者の20%が、過去1年間にこのような方法で当局者から接触を受けたと述べた。これは2023年の30%から減少している。

複数の回答者は、MSS当局者が密かに中国人スタッフと面会し、圧力をかけているとも報告した。中国人は通常、国家安全保障機関の職員との接触の詳細を開示することを禁じられているため、これらの接触の実際の頻度は不明のままである。

「私のアシスタントは繰り返し召喚された。時には仕事の後や夕方にもで、彼女は不安を感じた。彼は私たちが取り組んでいる記事や、私たちが会った人々について尋ねた」— ヨーロッパの報道機関の記者

もう一つの懸念事項は、新しい外国人記者が中国外国人記者クラブ(FCCC)に加入するのを思いとどまらせるための、中国当局による取り組みが強まっていることである。第4章(ビザの問題)で述べたように、プレスカードを取得するには外務省での面接が必要であり、2回目の面会は通常、毎年のビザ更新時に行われる。複数の回答者は、これらの面会が、FCCCに加入しないよう、または積極的に活動的なメンバーにならないよう圧力をかけるために使われたと述べた。

FCCCは、1981年に中国政府の奨励を受けて設立された専門家団体である。何十年もの間、クラブは建設的な当局との関与を促進し、そのメンバーは中国の経済的・社会的変革について報道してきた。しかし、国際メディアがアクセスと移動の自由を拡大した2008年のオリンピック以来、当局は組織にますます警戒するようになり、時にはクラブのリーダーシップをビザの結果で脅すこともあった。今日、外国人ジャーナリストが運営する組織との公式な関与は明確に思いとどまらせている。

データ・スナップショット

  • 86%が、インタビューを断られたり、キャンセルされたりしたと回答した。
  • 25%の報道機関が、ビザの問題により人員不足に陥っていた。
  • 法的脅威や訴訟が8件発生し、2023年から増加した。
  • 9%が物理的な暴力やハラスメントを受けたと報告した。
  • 警察官や私服警官による監視が続き、2023年に初めて報告されたドローン監視は2024年に拡大した。
  • 15%が、当局が本社の編集者に連絡することで彼らの報道に影響を与えようとしたと述べた。
  • 38%が、中国人スタッフが少なくとも1回、嫌がらせ、圧力、または脅迫を受けたと述べた。
  • 38%が、当局からの圧力により取材旅行を中止した。
  • 北朝鮮国境付近で取材した記者の94%が、ロシア国境で88%、内モンゴルで80%が妨害に直面した。
  • 41.76%が当局に妨害されたと回答し、同数が身元不明の人物による妨害を報告している。両方を経験した記者もいる。

結論

2024年、中国の取材環境の一部の要素は改善された。特に、ビザの発行待ち期間が短縮され、ビザの制限により人員不足を報告する報道機関が減少した。FCCCはこれらの進展を歓迎し、外国人ジャーナリストが中国に入国して直接的な理解を得ることの重要性を認識している。

しかし、深刻な課題は依然として残っている。驚くべきことに、回答者の98%が、労働条件は国際的な基準をほとんど、あるいは全く満たしていないと回答した。かなりの数の回答者(41.76%)が、当局に妨害されたと回答し、同数が身元不明の人物による妨害を報告している。両方を経験した記者もいる。

主な懸念事項には、情報源が公式の許可が必要だと主張して、日常的にインタビューを拒否されること、政府関係者を含むジャーナリストに対する法的脅威の急増、そして公式な圧力と一般市民からの敵意の両方に直面する中国人スタッフへの継続的な嫌がらせが含まれる。

多くの記者は、特にビザの手続きにおいて、わずかに発生した改善は脆弱で、政治的に左右されるものだと懸念を表明した。二国間関係によっては、これらの成果は逆転する可能性がある。ビザの承認に苦労し続けているアメリカとカナダのメディア機関が直面する継続的な困難は、ジャーナリストビザが地政学的な道具として使用されていることを裏付けている。外国人記者への予測不能な扱いと、中国人スタッフへの予測可能な敵対的環境が相まって、ほとんどの記者が2024年に取材環境がさらに悪化したと結論付けた。

FCCCは、中国政府に対し、外国人ジャーナリストを歓迎するという公約を尊重し、国を客観的、包括的、かつ独立して報道するための条件を確保するよう改めて要求する。

調査方法

このレポートは、中国外国人記者クラブ(FCCC)の会員であるジャーナリストを対象とした調査に基づいている。調査は2025年2月と3月に実施され、アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸のメディア機関を代表する92人の記者の回答が得られた。

パーセンテージは、各質問への回答の割合を反映している。

すべての回答者がすべての質問に答えたわけではない。

大多数の回答者は、自分自身または自分の出版物への報復を恐れて、公式に引用されることを望まなかった。このためらいは、中国の報道の自由の現状について公に話すジャーナリストにとって、ますます敵対的な雰囲気を反映している。

データ引用については、北京を拠点とする専門家団体である駐中国外国記者協会(FCCC)をクレジットするようお願いする。

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