本日の記事はPoliticoからで、短いものだ。テンセントは僕が知る限りサンフランシスコ近郊にその企業サイズにはあまり見合わない(しかしその海外への無関心を象徴するような)小さなオフィスがあっただけで、特に活発に活動している印象はなかった。しかし米中の経済摩擦というよりトランプ大統領によるバイトダンスいじめに見えていたこの件の火の粉が突然降りかかった以上、ある程度は自らの身を守る必要があるということなのだろう。

ここで紹介されているTiktokのウェブサイトは、ファーウェイは一時期熱心に行っていたHuawei Factsに類似している。洋の東西を問わずこのようなケースでしばしば起こるように、Huawei Factsは今年3月に更新が止まっている。皮肉として言うならば、「波を乗り切れればよい」と考えていることが透けて見える、と評してもいいかもしれない。さて、来年バイトダンスはこのサイトの更新を「予算の無駄だから止めよう」と言えているだろうか。

テンセントが初となるロビイストを雇用

出典: Tencent hires its first lobbyist(Politico 8/17)

人気アプリ「WeChat」を運営する中国企業テンセントは、トランプ政権が今月初めに公表した同社を取り締まるための動きへの対応策として、はじめてワシントンのロビー活動会社を雇用した。開示資料によるとテンセントが雇用したのは現在Paul, Weiss, Rifkind, Wharton & Garrisonに所属するロベルト・ゴンザレス(Roberto Gonzalez)で、オバマ政権時代の財務省の副法律顧問(deputy general counsel )の経歴を持つ。ゴンザレスがロビーとして登録されるのは今回が初となる。

8月6日に発行された一連の大統領令の中で、トランプ大統領は中国で広く利用されているWechatと中国企業によって所有されているSNSアプリであるTiktokを「中国共産党がアメリカ人の個人情報や知財情報にアクセスできるようにする脅威となっている」と警告した。さらに、これらのアプリが「中国共産党は合衆国を訪れる中国国民の個人的な、或いは機密性の高い情報を窃取することによって、人生で初めて自由な社会の恩恵を享受しているかもしれない彼らを監視するためのメカニズムを可能としている」と付け加えた。

著名な法律事務所及びロビイング会社を雇うことは、トランプ大統領の規制から逃れようとする中国企業にとっての定石の一部となっている。Tiktokを所有する中国企業バイトダンス社は、今年初めにInternet Association(訳注:名前は普通だが、ネット企業のロビイングを専門に行う企業)からマイケル・ベッカーマン(Michael Beckerman, 前述のIAの創設者でありCEOだった)をワシントン事務所の運営のために採用したが、開示書類によると、それ以外にも外部のロビイング会社4社(American Continental GroupK&L GatesMehlman Castagnetti Rosen & ThomasMonument Advocacy)を雇っている。ファーウェイ、ZTE、ハイクビジョンなど、議員たちやトランプ政権の監視対象となっている他の中国企業も、米国ビジネスにおける制限と戦うためにロビイング会社に資金を投じている。

Tiktokは最近ローンチしたウェブサイトの中で自らを“Last Sunny Corner of the Internet(インターネット最後の日の当たる場所)”と評し、そこではThe New York Times, Bloomberg Newsをはじめとするいくつかのメディア露出記事の抜粋、あるいはCato Institute 、the American Civil Liberties Unionといったシンクタンクやアドボカシーグループのブログ記事を紹介している。そのサイトでは「ワシントン、あるいはメディアで増殖しているTiktokに関する噂や誤情報に関しての記録を整理させてほしい」と述べられている。