党報と呼ばれる中国の共産党系メディアの急速なデジタル化については、今までも何回か取り上げている。たとえば人民日報の中央厨房に関する「フォロワー数1位、中国官製報道のSNS適応成功の裏にあるニュース製作「厨房」とは」などはその一面を表している。

「党」という非常に保守的なイメージがある存在が、デジタル化に非常に大きな力をつぎ込んでいる事は個人的に非常に興味深いと思っている。そしてこれは単に中央のひとつふたつのメディアがやっているだけでなく、すでに全国的な動きとなっている。今日紹介するのは、人民日報系の研究組織「人民网研究院」が発表した、全国での党メディアのデジタルに関する報告書だ。原文はインフォグラフィックで長い画になっているので、ぶつ切りにしながら紹介する。  

一枚で丸わかり「2019全国党報融合伝媒指数報告」

出典:一图读懂《2019全国党报融合传播指数报告》(7/31 凤凰网财经

7月30日、2019全国党報サイトフォーラムにて「2019全国党报融合传播指数报告」が正式に発表された。これは人民网研究院がこのテーマで発表する第三回の報告書で、377の中央、省、地市党報の融合コミュニケーションの状況を調査、分析し国内の党報のコミュニケーションにおける特徴をさぐったものだ。  

党報の各プラットフォームカバー率(アカウント開設率)

データによれば、2019年は各プラットフォームのカバー率は前回に比べて増加している。ウェブサイトの開設率は93.4%と変わらず高く、アプリへの送稿や公众号も80%を超えている。76.1%が自らのアプリを公開し、73.5が微博アカウントを持ち、半分が抖音(tiktok)のアカウントを持つ。 省級党報は抖音を除いた他のすべてのプラットフォームを100%カバーしている。次に中央級で、自社アプリ、抖音を除いてすべてをカバー。地市級党報は比較的こうしたカバー率が低いが、18年に比べれば明らかにどれも上がっている。

党報のオンラインでのコミュニケーションは顕著に強化

各党報、及びウェブサイトのオリジナルコンテンツ(紙媒体のオリジナルコンテンツを含む)比率は35%。また党報及びそのウェブサイトは平均24回転送されており昨年同期にくらべ大きく上昇。

微博は党報が使うプラットフォームの中でユーザ数最大

微博アカウントのフォロワー数(万)

` 人民日報のアカウントがフォロワー数最高で8885万、前年同期比53%増。中国日報、光明日報など6つの微博アカウントは1000万越え。 各社の微博アカウントは平均1日に12の投稿を実施。記事の平均閲覧量は11万。18年の9.6万にくらべて、14.6%上昇。 フォロワー数最高の人民日報は、平均記事閲読量は325万越え。中国日報、中国青年報、広州日報など7つのアカウントは平均が10万を超える。

2019党報微博フォロワー数、記事平均閲覧量TOP10

党報の微信公众号は、一日平均5.5件の投稿、308の公众号が投稿したアカウントの閲読量は4746。平均閲読量は昨年同期と比べて3%上昇、閲読量平均(中央値)は1211で、昨年より5%上昇した。

2019党報微信公众号影響力TOP20

TOP20は中央級7、省級5、地市級8で構成され、昨年に比べ省級が2増え、代わりに地市級が2減った。 287の党報が自社のアプリを公開。調査範囲の11のアプリマーケットにおいて、DL数は平均245.1万で、昨年同期比29%上昇。 DL量の中央値は3.7万で中央、省、地市級それぞれで大幅に増加している。 人民日報のDL量が最大で、2.8億近い。12のアプリがDL量1000万を超え、22が100万をこえ、63が10万以上。1万をこえているのが最も多く43%を占め、1万以下が23%を占めている。 DL量10万以下のアプリの内、95%は地市級だが、地市級のなかでも広州日報、長沙晩報など11のメディアは、DL量1000万以上。 312の党報はニュースアプリに投稿。平均2.4のアプリに投稿している。今日头条は220、搜狐には208、腾讯には171の党報が投稿している。 党報のニュースアプリ上のアカウントでの閲読量平均。五大プラットフォーム上での閲読量平均は17.1万で、中央値は1.4と昨年の0.6から大幅に上昇。 党報は平均1日に33のメッセージを発信。今日头条のアカウントの閲読量平均は8014、18年よりは低下。 190の党報が抖音(Tiktok)にアカウントを開設、フォロワー数平均は19.7。 人民日報の抖音アカウントフォロワーは2327.8万。各党報アカウントは2日に一回程度情報を発信、人民日報のアカウントは期間中最高述べ71億回再生。陳西省の榆林传媒中心、贵阳网のアカウントの投稿は再生数は10億回を突破。党報の抖音アカウントTOP20の12が地市級で、抖音では地市級の存在感が目立つ。再生数においても地市級の平均は中央を上回った。 その他のSNSアカウントでの級別閲読量平均。抖音の111.6万は他の微博微信やニュースアプリを大きく上回る。そして中央級の閲読/再生量は省級、地市級を大きく上回る。 12の党報が喜马拉雅FM(注:音声コンテンツ配信プラットフォーム)にアカウントを開設。平均1日0.8のコンテンツを投稿、人民日報の人民网は1日5.2のコンテンツを配信し、最多。 喜马拉雅FM内の人民网は総再生数が3400万、つづいて中国日报网で1000万超、西安が41万をこえ、中国青年报中青在线は万を超えているが、その他は万以下。党報はこうした音声コンテンツ配信プラットフォームにアカウントを開設する事は伝達力が弱いこともあり、限られている。

党報の融合情報伝達力TOP10

人民网研究院のまとめによると、サイト、微博、微信、自社アプリ、ニュースアプリ、ショート動画などでのコンテンツ生成及び配信から見ると上記が総合的なランキング。

各チャネルにおける伝達力TOP20

新聞メディアの指数算出法