メディアの厳冬期に「新京報」が一千万元以上の利益をあげた秘密(翻訳)。

何度か触れているように、全世界の伝統(紙)メディアと同様、中国のメディアもまた大きな転換期を迎えている。

中国の専門媒体の関係記事を見ていると休刊や減益を伝える悲観的なもの、もしくは政府的な立場に立った「融媒体中心(「統合メディアセンター」とでも訳せばいいのか)」建設の成功や広がりを表すものが多い。しかしあまり多くは語られないが、例えば人民日報は微信で最もフォロワー数が多いアカウントになった事(以前この組織「中央厨房」について記事化した)など、デジタルトランスフォーメーションに成功したといえるケースも出始めている。今日は、新京報という北京の伝統的新聞が逆風の中で予想外の収益を上げている事を紹介する記事だ。

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中国語だとそっけなく”转变”で通じてしまう「デジタルトランスフォーメーション」については国外の同業界でいうと、Newyork Timesや日本でいえば日経が(比較的)成功した例としてよく挙げられる。また新時代のメディアとしては比較的オールジャンルに近く、無料でPVを集めることを基本的な収益の軸にしていたBuzzfeedやHuffington Postの時代を経て、よりプロフェッショナル(もしくはジャンルが細分化された)なメディアとして、ワシントンポストの記者が始めたアメリカの政治専門メディアPoliticoやAxios、オランダのDe Correspondentが比較的成功している例として挙げられるだろうか。

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中国で起こっているこの変容は、以前も指摘しているように、外国のものとは事情が少し異なる。それは共通要素である①紙からデジタルへのシフトだけでなく
②国営から民営へのシフト が同時に起こっていることが一番大きいだろう。
これは完全に独立した動きではなく、ある局面では絡み合い、ある局面では全く関係なくそれぞれの動きとして現れる。特にメディアは資本の面からは民営といえども同時に共産党の統治機構の一部として重要であり、完全な自由はあり得ない。前記事「財新の有料記事内容盗用問題と中国メディアの「公器」論」中盤でその一端に触れたように、その支配構造は様々な手法を組み合わせたユニークなものだと言える。

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新京報は、12年末の南方週末社説書き換え事件の際書かれた「南方的粥(中国語)」という「グルメ記事」は表面上粥がおいしい店の紹介であるものの、実は南方週末への応援であったといわれ、表現に規制がある中での中国のメディアの矜持のひとつの示し方と言われた。そして17年8月には 社長であり、都市報の一時代を代表するといわれた戴自更が離職したこともまたニュースになった(「翻訳:ひとつの時代の終わりを告げる新京報社長 戴自更の離職」)。しかしここ1年メディア再編についての動きに出てくることはなく、率直に言って南方週末と同様「歴史の中で語られるメディア」という認識だった。

そんな新京報の現在位置はどうなっているのか?あまり長い記事ではないが、匿名であるにもかかわらずかなり数字にも踏み込んだ記事になっており、興味深く読めると思う。

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メディアの厳冬期に「新京報」が一千万元以上の利益をあげた秘密

出典:媒体寒冬之下,新京报实现千万级利润的秘密 (记者站 1/29)

新聞業界の厳冬期と言われ、伝統メディアの衰退の声が流れる中、新京報は逆転上昇の道を歩みつつある。

本日午後、新京報は2018年の総括表彰大会を行った。その席上、18年年間の新京報の利益は1千万元級に達し「社会に対する貢献と経済に対する貢献の二つを同時に成し遂げた」との発言があった。

新京報によれば、この実績は人事面でのコストは5%上昇、印刷や紙のコストは600万元上昇、新京報アプリには2100万元の投資を行った。ではそれは具体的にどのように行われたのか?记者站(ID:jizhezhan001)は今回、新京報の内部関係者にインタビューを実施した。

1、収益については予想を完全に超えていた

记者站:去年10月、新京報、千龙网、北京晨报の3つの伝統メディアが統合することが発表された。今回の好成績は3つのメディアの成績を合算したものなのか?
答:これは新京報1社のみのものだ

记者站:新京報1社の業績で残り2社を含まないというのは、3社の統合がまだ済んでいないことが原因か?
答:まったくそうではない

记者站:新京報の収益構造はどうなっているのか?
答:イベント及びその付帯収入が大きい。そのほかにはデジタルメディア、新聞広告と版権収入がある。

记者站:収益は具体的にどのような比率になっているのか?
答:イベント及び付帯収入が32%、特刊(スポンサー付きなどの特別号)が24%、純広告が16%、デジタルメディアは15%、そして定期収入が13%にあたる。

记者站:この結果は、同業の中でどのような位置づけと考えるか?
答:新京報は北京のメディアの中でのシェアは57%にのぼり、17年に比べ、5.6%の成長を遂げた。車、3C、食品、健康、教育などの業界につながりが深い。1000万元以上という利益については予測を超えており、国内の市場化しているメディアの中ではリードしている立場にあるといえるだろう。

记者站:今回の好業績は何が原因か?
答:「優れた内容を提供できるメディア」というもの(訳注:への評価)が戻ってきつつあり、その有無による価値の差も次第に明確になりつつある。ただ一方、大きな意味での環境の影響は特にこの1年は非常に深刻だった。少なくないメディアが休刊や停刊においこまれ、逆にまたそれが新たなメディアを生み出す機会にもなった。
そのほか、自媒体の環境も整いつつあり、良質なメディアについては月日が経つにつれ多くの人に認められるようになってきていると感じる。

记者站:2019年の経営目標は?
答:総収入20%以上の成長と、収支均衡を保つことだ。

2ニュース報道の内幕、400のニュースを生み出す

记者站:2018年のニュース報道の全体的な状況はどのようなものだったか?
答:我々は安定的に毎日400程度のニュースを報じている。また重大なニュースに関して穴をあけたこともない。

记者站:2019年にこの方面でどのような目標があるか?
答:550程度のニュース報道、ビデオについては150以上の公開を目指している。

记者站:2018年に新京報が行った報道の内容について重点を紹介してほしい
答:タイのプーケットでの船沈没事件で新京報は現場に一番に到着した中国メディアになり、半月にわたって、4回の生放送実施、20のショート動画公開、1.55億のアクセスを得た。この事件の一連の報道によって、新京報は2018年ニュース報道大賞を獲得した。

それ以外このライブ放送においては、2018年度のビデオライブ放送賞金賞を獲得した。

新京報の「我们视频(Our Video)」プロジェクトにおいてこの1年、1日に100を超えるコンテンツ、合計530億を超えるPV、フォロワー数は600万以上に上り、2018年は結果として「最も影響力のあるデジタルメディア」金賞を獲得した。

調査報道において、2か月以上の時間をかけて、陈裕咸という1名の陳情者の死とその悲劇の根源を探り、前後編の報道としてまとめた。これは新京報が守るべき価値をうまく体現できたと思う。この報道により、調査報道賞の金賞を獲得した。
そのほかの賞を獲得したものに関してはこちらのリンクから見ることができる。

3メディアのクロスオーバー:すべてのビデオ化

记者站:新京報アプリはどのような状況か?
答:新京報アプリは去年の10月31日に公開された。2019年はニュースアプリのトップグループに並ばなければいけない。

记者站:新京報のメディアクロスオーバーにおける目標は?
答:新京報はこの大きな流れの中でも常に突出し、全国で最も影響力があるオリジナルなコンテンツを発信するプラットフォームになる必要がある。現在の方法論における基礎を守ったうえで、さらに多くのチャンネルを開拓し、すべての影響力あるプラットフォームをカバーしたいと考えている(訳注:かなり遠回りな言い方だが、現在のウェブサイトや自社アプリだけでなく、おそらく抖音のような新しい流行のアプリなども積極的に取り入れるという意味)。

记者站:今挙がった新しいコミュニケーションチャンネルの開拓については具体的にどのような進め方を考えているか?
答:「小刻みに」「素早く」、コンテンツのビジュアライゼーションをさらに進め、全領域、全部門、そして全社員で映像化を進め、ビデオの製作チームとコンテンツチームがシームレスにつながる必要がある。

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