翻訳:Mobike創始者胡玮炜:たくさんの人に「あなたの自転車は全部盗まれる」と言われても、なぜ私は続けるのか

中国で今年になって急速に拡大している30分1元、どこにでも乗り捨てられる自転車を使ったビジネス。そのトップランナーである摩拜单车(Mobike・以下”摩拜”)の創業者、胡玮炜による講演の翻訳。

なお胡玮炜は浙江省杭州市出身の1982年生まれ。浙江大学城市学院を卒業後、新京報をはじめとするいくつかの媒体やテンセントなどで働いた後、2014年2月にGeekCarという若者向け自動車サイトを立ち上げ、その後2016年4月に摩拜单车(Mobike)を上海でサービスインさせた。その後の半年強で北京、広州、成都などに瞬く間に広がっている。

たくさんの人に「あなたの自転車は全部盗まれる」と言われても、なぜ私は続けるのか

出典:创业邦

12月1日、北京の国家会議中心にて「2016创业邦100未来领袖峰会」が実施され、摩拜单车の創業者である胡玮炜は「自転車を都市に帰す」というタイトルで講演を行った。

要点は以下:

  1. 最近、朋友圈で流行っているのは自動車、豪邸、ブランドもののハンドバッグではなく、割れた腹筋やビール腹を引き締める、マラソンを走るなどの様子だ。これはより本質的なものが我々にとって重要になってきていることを示している
  2. 私たちが摩拜を始めた時、みんな口をそろえて「あなたの自転車はきっと全部盗まれる」と言った。けれども私は、もしほしい時にどこででも簡単に自転車に乗ることができるのならば、盗む必要性自体がなくなると思う。
  3. ユーザ構成は52%が八零后、30%近くが九零后。男性が圧倒的に多く女性は少ない。これに関しては改善の必要を感じている。

以下が講演の全文(媒体によって一部編集の後、先方確認済)

今日はとても天気がよく、陽が出ています。先ほどこの会場に着いた時、門のところに私たちの自転車が置いてあるのを見ました。私たちのLite版はこれだけ天気が良ければ多くの電気を貯めることができると思うので、私はその自転車に乗って今日は会社に帰る事が出来るかもしれません。
この話を始める前に今後2日間の間、北京の空気汚染が非常に悪い状態になるだろうというSMSを受け取りました。皆様もお子様、そして身の回りの老人をぜひ気にかけてあげてください。我々が生活しているこの街は、時には我々を奮い立たせることもありますが、困らせ、不快にさせるものが多いのもまた事実です。

なぜ摩拜を始めたのか?

私は女性なので、感性的な部分から出発しました。小さい時から、私たちにとって自転車に乗るというのは美しい思い出でした。効率もよく、シンプルで、面白い道具です。人をゆっくりと街の中に溶け込ませることができます。

過去30年に渡って私たちは、自動車、家をはじめとした物質的なものを絶えず発展させてきました。しかし振り返ってみると、そうしたもので得られる幸福感は持続的なものではありません。いま多くの人が朋友圈に投稿するのは自動車、豪邸、ブランドもののハンドバッグではなく、割れた腹筋やビール腹を引き締める、マラソンを走るなどの様子で、要するにシンプルで本質的なものが私たちにとって重要になってきているんだと思います。これは私の個人としてのレイヤーでお話しできる、なぜ摩拜というプロジェクトを開始したかという理由です。

摩拜は都市、そして交通と密接な関係にあります。続いて、その交通の視点で自転車を都市に帰す必要があったのかということについてお話ししましょう。Co2排出量で見ると、自動車は自転車の18倍の排出があります。一台の車が停車するのに必要なのは10㎡である一方、一台の自転車が要するのは1㎡です。もし今日1万人の人が自動車でなく自転車で出かけることを選んだとしたら、私たちは9万平方メートル、空間を節約したことになります。車道を増やすよりは効率がいい方法でしょう。

とあるデータでは、北京の自動車使用の30%は5Km以下の距離だそうです。また、自動車は90%の時間は駐車場に停めてあって、もっと多い時間渋滞の中にいるか、駐車できる場所を探してさまよっている途中です。

では、短距離の外出にとってもっと手軽な方法はなんでしょう?

自転車への需要は、摩拜がゼロから作ったものではありません。過去10年20年の間、公共自転車というものが常にあり、一部の需要を満たしていました。しかし公共自転車には弱点があり、例えばデポジットを払う場所や自転車そのものをすぐに見つけることができなかったり、どこに停められるのかがよくわからなかったり。このような問題意識の元、私たちのMobikeは技術的なアップグレードによってこれらの問題を解決し、人々にもっと簡単に自転車に乗ってもらえるようにしたのです。

どのようなスマートシェア自転車を作ったのか?

Mobikeは自転車であるというだけに留まらず、短距離を移動するための新しいもの、動力と言っていいでしょう。ではどのようなスマートシェア自転車を作ったのでしょうか?

まず、スマートロックのシステムを作りました。携帯のアプリを通して自転車が今どこにあるかを見ることができ、GPSを通じてメンテナンス担当者に位置を知らせ、例えば48時間誰も乗っていない自転車があったとしたら、そのような事態にも対処する事ができます。

次に、軸伝導発電。太陽が出てさえいれば、Lite版なら電力を吸収して、元気にサービスを提供する事が出来ます。同時に、通常版であっても運動エネルギーを使って発電する事が出来ます。

そして、ソリッドタイヤ。Mobikeはタイヤの空気が抜けているとかチェーンが外れたとかそういったことが原因で走れないということにはならないようにしたかった。

それ以外にも通常版は5本のスポークを採用しています。組み立て方式などによって、生産とメンテナンスの効率を最大限に高めています。また軸伝導は当時、チェーンが外れることのないように、ライフサイクルをさらに長くするために考えられました。

私たちはいつもこの仮定が正しいのか、自分に問いかけ続けています。チェーン伝導によって長期間メンテナンスフリーにならないだろうか?したがって、Liteではとても良い材料を使ってチェーン伝導を実現しました。同時に、ソリッドタイヤではない他の技術、他の材料で同じように空気を入れる必要がなく、乗り心地がよいものはないだろうかと考えています。
通常版とLite版の最も大きな違いは充電方式です。アプリをダウンロードさえすればすぐに周囲の通常版とLite版両方の自転車を見つけることができ、QRコードをスキャンすればすぐに走り出す事が出来るので、多くの人はすぐに慣れる事が出来るでしょう。

政府とユーザーの善意によって成り立つ

都市の視点から見てみましょう。都市という存在は偉大な発明という事が出来ます。多くの人が一か所に集まって生活することによって多くの火花が散り、多くのイノベーションが産まれ、歴史的な発展の動力源となりました。

現在の我々は多くの時間を閉ざされた空間で過ごしています。オフィス、家、自転車は人と人のもっと多くのコミュニケーションを生み、お互いに見る事が出来、都市の生活力を生み、したがって私たちは多くのデータを産み、このデータは政府がインフラの建設計画を作る手助けにもなります。そして、都市はさらに緑が増え、空気が良くなり、自転車に適した道路が増えていくことによって、さらにまた自転車にとってもよい場所になっていきます。

ユーザたちはMobikerという、とても面白いグループになりました。彼らは上海、北京、深圳、成都に分布し、皆写真を撮るのが非常に好きで、その中の一枚は私たちのアプリの起動画面の写真になっています。

ユーザ構成は、52%が八零后、30%近くが九零后。男性が圧倒的に多く女性は少ない。これに関しては改善の必要を感じています。同時に110もの国のユーザがすでに登録していて、とても国際的なアプリであるといっても過言ではないでしょう。

これ以外、摩拜は当局や他の会社などとパートナーシップを組むことで駐車できる場所を増やしています。例えば上海では停車スペースが分かりやすいように白線を引いたり、使い方の説明のプレートを建てたりしています。また広州ではサービスイン1か月にも満たない内に、当局は39か所ものMobikeの停車用の場所を新たに設置し、我々をサポートしてくれました。

Mobikerとはどういったグループなのでしょうか?私たちは優れた仕組みは善意を生むと信じています。私たちがこのサービスを始めた時、みんな口をそろえて「あなたの自転車はきっと全部盗まれる」と言った。けれども私は、もしほしい時にどこででも簡単に自転車に乗ることができるのならば、盗む必要性自体がなくなると思います。
私たちは1つの制度を作りました。アプリをダウンロードした時には、100点のクレジットスコアを与えます。一回乗るごとに1点増え、もしよくない使い方をされている自転車の行動を通報した時にはさらに通報者に1点加算します。逆に、そのような行為を通報された場合、20点の減点です。もし合計点が80点を下回った場合、30分の使用料金は100元(訳注:普通は通常版1元、Lite版0.5元)になります。使い始めた当初はちゃんと自転車を停めることがわからずに通報されてしまうかもしれませんが、自分の信用を積み立てることによって、80点以上に達する事が出来るのです。

サイクリングは面白いし、クールだ

Mobiker以外にも、Mobikeハンターという人もいます。

彼らは、都市には騎士道精神、狩りの精神が必要だと考えていて、自分たちのルールや遊び方に基づいて活動しています。多くのものはユーザによる自発的なもので、たとえば上海にはパジャマパーティというものが、とある外国人によってはじめられました。ひとつのルートを決めて、パジャマを着てMobikeに乗り、速くゴールに達した人が賞品をもらえる以外にも誰のパジャマが素敵か品評をするんだそうです。

のちに私はこのユーザを探し出して、なぜこんなに面白い活動を考えたのか聞いてみました。彼はMobikeはとてもクリエイティブで超面白いから、一緒に遊んだだけだと言いました。彼は朋友圈に今晩の代表は誰、勝者は誰などと書き込んで、最後に「だけど今日の最大の勝者はMobikeだ」と締めくくりました。それ以外にも、ナイトランや親子活動もあります。

話は変わりますが、1日24時間、本当に全部の時間に自転車に人が乗るのか?私はずっと疑問だったのですが深圳のデータを見ていた時、とあるユーザが教えてくれました。道路工事をしている人などは、夜中の2時3時にようやく家に帰る事が出来ます。そんな時間、当然公共交通はすべて終わっていますし、タクシーに乗ることも難しい。以前は自分の自転車に乗って帰ることもあったようですが、いまはMobikeがある。
このエピソードは私たちをとても揺さぶりました。私たちは自転車を都市に帰したいと思います。そして、サイクリングが街をかえることができたらいいなと、思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です