3月恒例の两会が北京で開かれていて、比較的大きな発表事が多い。今年はかなり多くの、しかも大きな組織改編が発表され、官僚の皆様は非常にお忙しいことと思う。

その中で僕が気になっているのが广电局という組織の改組だ。この广电局は正式名称を国家新闻出版广电总局といい、みたまんま、ニュース、出版、放送、映画を監督する国務院(日本の内閣府相当)直属の組織で、人民日報やCCTVは組織上、ここに属していることになる。中国映画を見たことがあるなら、このような画像に見覚えがあるかもしれない。これが广电局が放映を許可したというお墨付きだ。

この广电局の名前が今回「国家广播电视总局」に変更される、というのが今回正式に発表されているすべてだ。

大した意味がないと考える向きもある。「新しい酒は新しい革袋に」というわけで、単に新しくなった感を強調したいだけ、という考え方だ。これもまあ、わからなくはない。

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しかし、見た限り中国政府は官僚組織の極みのような場所で、前例主義が徹底されている。だからこそ例えば全人代の「報告」において毎回毎回何文字変わったということが話題になりえるのだ。であれば、ここにも意味があると考えるのが自然だろう(同時に、元々の組織名が所轄範囲を羅列しているものなので、それが減れば所轄も減ったと考えるのが自然だろう…材料と料理方法を羅列する中華料理の記法をなんとなく想像させるが)。

またそもそも文中で触れられているように、この組織は国家广播电影电视管理总局と新闻出版总署というふたつの部署が合併してできたものなので、今回削除された四文字は後者のアイデンティティそのものという意味で、無神経な削除は即ちそこを母体にした誰かの怒りを買いかねない、というのが官僚的発想というものだろう。

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無くなったのは名前から考えればニュース、出版、そして电=電、これは元々广播「电影(映画)」だったものが广播「电视(テレビ)」に変わっているので、映画だ。

この通達では、減った名前を冠した組織は新しく作られていないようだ。では結局どういう意味があるのか?実は職掌は変わらないが内部の権力闘争の結果、旧国家新聞出版署系が全滅したということなのか?

ということで、今日は同じ疑問に答えている記事を翻訳して紹介する。なお、これも本文末尾に書かれているが本日時点で公式には何も発表されていないのでこれらは全て推測であることは念の為。

※参考として、この話題に関する国務委員である王勇の発言の書き起こしが新華社で報じられていたので以下に記す。

组建国家广播电视总局。为加强新闻舆论工作,加强对重要宣传阵地的管理,充分发挥广播电视媒体的作用,方案提出,在国家新闻出版广电总局广播电视管理职责的基础上组建国家广播电视总局,作为国务院直属机构。其主要职责是,贯彻党的宣传方针政策,拟订广播电视管理的政策措施并督促落实,统筹规划和指导协调广播电视事业、产业发展,推进广播电视领域的体制机制改革,监管、审查广播电视与网络视听节目内容和质量,负责广播电视节目的进口、收录和管理,协调推动广播电视领域走出去工作等。

  不再保留国家新闻出版广电总局。

ニュース世論に対する働きかけを強め、重要なプロパガンダ対象への管理を強化し、ラジオ・テレビ(以下ラ・テ)媒体の作用を充分に発揮する事を目的に、国家广播电视总局を設立する。国家新闻出版广电总局广播によるラ・テ管理の職責を基礎に国家广播电视总局を設立し、国務院直属機構とする。その主要な職責は、党の宣伝方針を徹底し、ラ・テ管理の政策の起案、そしてその実施と実現を促し、放送事業に関する計画と指導を取りまとめ、産業を発展させ、放送領域における改革を進め、ラ・テ及びインターネット番組のコンテンツ及びクオリティを監督、審査し、また番組の輸入、収録と管理に責任を負い、共にラ・テ流域における海外進出に協力することなど。

国家新闻出版广电总局に関してはこれを保留しない。

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国家新闻出版广电总局を取り消し、”国家广播电视总局”を設立する、では「ニュース・出版」と「映画」は誰が管理するのか?

出典: 撤销”国家新闻出版广电总局”,组建”国家广播电视总局”,那”新闻出版”和”电影”归谁管?(凤凰网 2018/3/14)

本日(3月13日)、国務院の組織改革案が公表された。この案によれば、国務院の正部級機構は8つ減り、副部級は7つ減り、国務院办公厅を除くと、部門数は26になる。

この改革案によると、国家新闻出版广电总局の放送、テレビ管理の職責を基礎に、「国家广播电视总局」が国務院直属機構として設置され、“国家新闻出版广电总局”という組織は存続しないことになる。

では、“国家新闻出版广电总局”が“国家广播电视总局”になり、そこから消えた新聞(=ニュース)と出版、それに映画はどこに言ったのだろう?映画局の仕事は誰に引き継がれるのか?龍のマーク(訳注:おそらく上述の映画放映時に放映されるロゴのこと)はもう出てこないのか?

多くの疑問がある。そこで今回はみなさんと一緒に、この大きな改革が業界に対してどのような意味があるのか見てみよう。

“国家新闻出版广电总局”が“国家广播电视总局”になる。ではニュースとラ・テは分割されるのか?

“国家新闻出版广电总局”は2013年に2つの組織があわさって出来たもので、その前は“国家新闻出版总署”、“国家广播电影电视总局”という名前だった。

我々が見る所、合併したあとでも、ニュース出版とラ・テは完全には融合しておらず、今回も分かれる可能性が高いと思う。

今回作られた“国家广播电视总局”は、名前だけで見るとそのひとつ、“国家广播电影电视总局”と非常に似ているが、「电影(=映画)」という2文字が減っている。

“国家广播电视总局”の主要な職責は、「党の宣伝方針を徹底し、ラ・テ管理の政策の起案、そしてその実施と実現を促し、放送事業に関する計画と指導を取りまとめ、産業を発展させ、放送領域における改革を進め、ラ・テ及びインターネット番組のコンテンツ及びクオリティを監督、審査し、また当該番組に関する輸入、収録と管理に責任を負い、共にラ・テ流域における海外進出に協力することなど」とされている。

職務領域から見ると、新しい“国家广播电视总局”は、再度“ニュース出版”と“ラ・テ”を分割し、また映画局の領域も離れる可能性がある。

ニュース出版と映画はどこにいった?映画局については?

新しい国家广播电视总局の名称からは、ニュース出版と映画の部分が削除されている。では、これらについてはどの部門は管理するのか?

1,「ニュース出版」に関しては「国家版権局」

これまでずっと、新闻出版总署と“国家版权局は「ひとつの組織、ふたつのブランド」だった。

2013年の2つの組織の合併の後でも、国家版权局の看板はかけられたままで、著作権管理の上では、国家版权局の名義で職権を行使している(訳注:广电总局の公式サイトの組織図には「版权管理司」という部門がある。しかし国家版权局はまったく別の公式サイトを運営しており、これを見ただけでは广电总局との組織上の関連は一見わからない。しかしページ下部をみると「国家新闻出版广电总局(国家版权局)版权管理司 」と記述されており、また検索すると「国家版权局版权管理司」という名前が一般的に肩書として用いられているようなので、運用上は旧組織名である国家版权局が使われているものと思われる)。

加えて、一般的には国家新闻出版广电总局の局長は,兼国家版权局局長を兼ねる。従って、「ニュース出版」に関しては国家版権局に帰する可能性がある。

2、ニュース出版は新規に設立される「文化和旅游部」の下部組織になる可能性もある

“新闻出版总署”は元々文化部が設立の上申を国務院に行ったもので、当初は文化部が管理していた。現在の文化部は“文化和旅游部”に変わったが、ニュース出版に関してもこの文化和旅游部に所属になる可能性がある。

3,ニュース出版は新設される国家知財権局の所属になる

この可能性は高くはないが、可能性がないわけではない。

鉄道部が国家が重視した結果として鉄道部として独立して成立し、とある原因により改革が必要になり、交通部の旗下に入ったように。

 

4,映画は国家广播电视总局に帰属

一般的には、映画とテレビの所轄は分割されない。今回の新組織は「电影」という2文字がないものの、依然としてこの組織の所管であり続ける可能性はある。

5,映画は単独の「委員会」「事務室」「署」「処」などの形式の組織が担当する可能性もある

国務院には“部”、“委”、“办”、“署”、“行”、“处”というような多くの部門があり、映画の管理に関してはこうした下部組織として単独であらわれる可能性がある。

当然のことながら、これらは全て推測に過ぎず、実際にニュース、出版、映画の管理に関しては两会のあとの公式発表を待つ必要がある。